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itoshinロゴ | ホームページ制作、ロゴデザイン、群馬県太田市のデザイン事務所「ITOSHIN」

ロゴ(Logo)とは「ロゴタイプ」と「ロゴマーク」の組み合わせ

クリエイティブワークをしている中で様々なデータを受け取ることになるのだが、中には「どうしてこうなってしまったのか?」と首をかしげてしまうモノもある。例えばロゴだが、これはクリエイティブの根幹ということもあり、取り扱いには十分注意したい。ロゴの正しい在り方について考えてみたい。

 

近頃いい加減(適当)なロゴが増えつつある

先日ある案件でロゴデータを受け取ったのですが、「縦組みと横組みでロゴタイプ(ロゴの文字部分)が異なっている」というモノでした。

具体的には縦組みは「太く力強いゴシック体」、横組みは「細みで繊細なゴシック体」しかも全くの別フォント、という状態です。

同じ文字情報でも、例えば印刷物やwebサイトで「見出しや本文の書体」に強弱を付けてウェイト(フォントの太さ)を変える事は当然あるのですが、「ロゴ」の組み方別にロゴタイプの強弱を付けるというのは本来あり得ない事です。

例外的に「ロゴタイプ」のパターンでウェイトに強弱を付ける場合もありますが、これは極小サイズや、白抜きにした場合に「視認性を維持するため」などの然るべき意図が介在した場合に限られます。

先日受け取ったデータは何の説明もなくPDFファイルにロゴだけが置いてあり、「単なる雰囲気でロゴタイプのフォントを変えた」という感じだったのです。

これを作ったのが「デザイナー」であるとは思いたくないですが・・・、近頃はこういった感じ「かなりいい加減なロゴ」を多く見かけます。

「ロゴタイプ」と「ロゴマーク」の関係

ここで「ロゴ」が、どういったモノなのか一般的な見解を示したいと思います。

ロゴは、大まかに「ロゴタイプ(文字列)のみ」、「ロゴタイプ + ロゴマーク(図案)」という風に大別できます。

『Apple』の「欠けたリンゴ」の様に、「図案のみで企業を示す」場合もありますが、これはアップルのブランド認知が全世界的に高いから成立するパターンだと言えます。(一般的な知名度が高くない場合は安易に真似すべきではありあません)

例えば、『Goolge』や『yahoo』は基本的に「ロゴタイプ(文字列)」のみですが、『sluck』や『メルカリ』は「ロゴマーク+ロゴタイプ」となっています。

ただ最近では「アプリアイコン」等の様な「シンプルな図案のみ」のパターンも必要とされるので、『yahoo』も『google』もそれぞれロゴ要素の一部アイコン化した様な図案の定義が存在します。

細かな意図やコンセプトは検索するといくらでも出てきますので割愛しますが、ここで考えたいのはその組のパターンです。

例えば「ロゴタイプのみ」の場合でもタグライン(企業・ブランドメッセージ)を付与したパターンや白抜きパターン、下位ブランドとの共存パターン(例えば『パナソニック』の子会社で『パナソニック〜株式会社』の様な)など想定されうるパターンはいくつもあります。

「ロゴタイプ+ロゴマーク」のパターンであれば、これらに加え、縦組み、横組み、はwebや印刷物別に多様なレイアウトを想定すると通常必須となります。

例えば『google』で[logo メルカリ]と検索すると、「縦組み・横組み」の他にも「白抜き」、「アイコン図案」、「ロゴマークのみ」、など様々出てきます。

世代別のバージョンなども出てくるのでロゴタイプが微妙に細かったり違ったりしますが、これは同時期に共存するものではありません。

なお現在の『メルカリ』のロゴレギュレーションは、以下で見ることが出来ます。

『メルカリブランドガイドライン

『メルカリ』の場合でも、「ロゴタイプ」や「ロゴマーク」の大きさは違いますが、「全く同じ体裁」で統一されている事がお分かりになるでしょう。

基本的には、どの様なブランドでも「ロゴマニュアル」と言われるロゴの仕様書が存在し、想定される「使い方の定義」が成されているのが通常なのです。

これは「ロゴが間違って運用されるのを防止する」という意図と、「ブランドが全ての人に同じ印象を与える」という意図が、デザインされているという事なのです。

ロゴタイプのウェイトで印象は全く異なる

上の図で見るとお分かりになるかと思いますが、単に”LOGO”という文字でも太いのと細いのでは全く印象が異なります。

物凄くざっくりで言うと、太いのは「力強く男性的」、細いは「か弱く女性的」という印象になるかと思います。

要するに「ロゴタイプ」の太さは「見る人にどの様な印象を与えるのか?」を意図した上で「スタイリングされる」モノだという事です。

組み方のパターンは「レイアウトを考慮してデザインされる」のであり、「見る人の印象が変わってしまう」様ですと、そもそも「ロゴが機能しない」という事になってしまいます。

「太さや形状が微妙に違う」と言うケースは、「白抜き」や「極小サイズ」などの様な視認性を考慮したパータンで敢えて作る事はありますが、基本的には「全て統一」が原則となります。

何かの理由で「ロゴが微妙に違う」と言うパターンが仮にあるとしても、運用上面倒なだけですし、消費者への印象付けも微妙に変わってしまい、ロゴを適切に機能させる上であまり良い事は無い、と言えるでしょう。

「クラウドソーシング」で安直なロゴが大量生産されている

これは私感であり、定量的な数値や根拠など一切ありませんが、近年のクラウドソーシング経由でこういった「適当なロゴ」が出回っている様な気がしてなりません。

オンラインで発注者がロゴをコンペ形式で募集するのですが、「デザインフィー(料金)」は一般的な相場よりかなり安いと感じます。こういったサービスで稼いでいる人たちは、フィーが安いので数多く案件を捌くため極力無駄なことはしない、のだと想定されます。

つまりロゴマニュアルは当然作らないという事になりますし、「縦組み」や「横組み」などのレイアウトパターンも指摘しなければ作らない、のだと考えられます。

出品される「ロゴ」の多くは「特にコンセプトもなく発注者のご要望りに単にカッコよく仕立てたモノ」が多いという印象です。

こういった方法でロゴを作る事自体、否定はしませんが、発注者側にそれ相応の「デザインリテラシー(デザインの知識)」が必要だと感じます。

つまりコンペで選んだロゴを元に「用途に応じたレイアウトパターンなども定義」して「適切に運用していくためのロゴマニュアルを作る」などの知見と技量が必要になるのかと思いますし、又は一連のロゴ・クリエイティブをディレクション出来る人材が必要になるかと思います。

こういった知識がないままにロゴが運用されると、「ロゴタイプのフォントやウェイトが異る」などの「チグハグなロゴパターンが」生まれる事になり、結果的に「ビジネスで機能しないロゴ(消費者への印象がバラバラになる)」が出来上がる、と想定されます。

いい加減なクリエイティブは本業の信用を無くす危険性も

こういった経緯で「いい加減なロゴ」が運用されていくと、例えば「webサイト、店舗の看板、カタログなどで全て微妙に違うロゴ」という事が起こり得ます。これらを見た人(消費者・ターゲット)は一体どういう印象を持つでしょうか?「微妙に違う」位は「誰も気づかない」から問題ないのでしょうか? 

実際に「ロゴ」を作るプロは、こういった微妙な違いは気持ち悪いほど気づいてしまいますが、一般の人でもハッキリと気づかないまでも「何かおかしい」という違和感は感じる人は多いのかと思います。即ち「微妙に違う」いうのは、ズバリ「品質が低い」という事なのです。

プロの料理人は調味料を計量して時間もキッチリ計るから「毎回同じ味で料理を提供する事」ができます。これが「品質が高い」という事なのです。その場の雰囲気で調味料や時間も適当なら「毎回同じ味の料理を提供する事は出来ない」のです。これは当然ながら「品質が低い」という事になるでしょう。

レギュレーションもなく場当たり的に「雰囲気でロゴを変更する」というのは、品質の低さを世に示しているのと同じ事になります。

つまり「ロゴ」に限らず「企業やブランドに紐付いたクリエイティブ(看板や名刺、などのブランディングツール)」がいい加減だと、「本業の仕事もいい加減な印象」となってしまう、という事なのです。

分かりやすい例で『Apple』や『Google』が「クリエイティブを徹底的に管理」しており、「いい加減なクリエイティブは絶対に許さない」という雰囲気を醸して出しています。(インターネット上にもブランドマニュアルを提示しています)

大企業、中小企業に関わらず、「クリエイティブにいい加減」といのは企業自体の信頼を大きく損なう危険性がある、という事なのです。

最後に

あるCIの巨匠と仕事をした時の話ですが、「ロゴは宝石のように扱え」という教えを受けた事があります。

「クラウドソーシング」の責任にはしたくないですが、一企業の顔である「ロゴ」が2~3万という値段には、ちょっと違和感を覚えます。

これに群がる「デザイナー」も良くないのですが、発注者側もロゴの適切な値段への理解、又は「クラウドソーシング」を利用する上では適切なデザインリテラシーの重要性、の理解が必要だと感じます。

その値段で作る「ロゴ」は何かのパクリかも知れないし(実際どこかで見た感じなのが多い)、訴えられても仕方ないしという事を理解した方が良いでしょう。

企業の信頼性の面で、「安い宝石」にはくれぐれも気をつけて欲しい、と思います。

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